情報処理技術者試験がCBT方式になるようです
情報処理技術者試験の全区分がCBT方式になるようです。
試験制度の改革を進めているとは聞いていましたが、これはちょっと意外でしたね。
もっとも、試験内容や難易度に変更はないとのことで、小論文試験も継続のようです。
PCで入力するようになることで、あの地獄のような手の痛みから解放されると思うと、個人的にはかなり嬉しいです。
一方で、逆にやりづらいだろうなと思うこともあります。
例えば、私は問題用紙にアレコレ書き込むタイプでした。
CBTになるとそれはできません。
情報処理技術者試験以外の試験でCBTを受験したことがありますが、メモ書きには小さいホワイトボードを渡されるだけです。
書ける量にも限度がありますし、毎回消さないといけないので見直しなどができません。
もしかしたら、専用のメモ帳などが配られるのかもしれませんが、ホワイトボードだとかなりやりづらいです。
この点は何か対策がしてもらえると嬉しいですね。
それと、これを聞いて思い出したのが、一部の試験のIBT化です。
今から3年ぐらい前でしょうか。
IPAが主導して実証実験が行われ、私も参加しました。
IBTというのは、CBTをさらに発展させたものです。
CBTは、全国に用意された汎用的な試験会場に赴いて試験を受けます。
一方、IBTは受験者の自宅で、受験者のPC等を用いて、試験を受けます。
受ける場所の違いだけのように見えますが、不正対策などの面ではかなり違いが現れます。
私が参加した実証実験でも、その点はかなり重視されていました。
受験者は常時カメラON、開始前に身分証明書をカメラに示して本人確認、何かあれば試験管から指示が来る。
結構、手間がかかってるなーと感じました。
恐らく、それらの手間や対策などで、いろいろ問題があったのだと思います。
それ以降何の音沙汰もなく、宙ぶらりんの状態なので……。
まあ、当時はコロナ禍を抜けた直後で、再度同じ状況になりえたのでコストも許容できたのでしょうが、今となっては釣り合わないのかもしれませんね。
話を戻して、CBT方式の話ですが、試験後に問題が公表されるのかという点も気になります。
これまで、情報処理技術者試験では、一部の区分を除き、試験後に試験問題と解答例が公開されるのが通例でした。
これが、CBT方式になっても継続されるのか。
これはかなり大きな問題です。
というのも、高度試験レベルになってくると、ハッキリ言って座学だけでは到底足りません。
過去問を解いて、問題がどういうふうに出題されて、どういう解答が必要なのか。
その訓練も行っておかないと、制限時間内に解答しきるのはとても難しいものとなります。
もし、今後試験問題が公表されないということになると、この過去問による対策ができないことになります。
以前も試験に関する記事でお話ししましたが、情報処理技術者試験の問題を解くという行為は、実際の現場でも役に立ちます。
知識を問う問題は、関係者間で共通の言葉で会話するための訓練に、『○○文字以内で解答せよ』という問題は、端的にポイントを答える訓練になります。
このような側面を鑑みても、ぜひ過去問は今後も公開していただきたい。
今回の発表を受けて、強くそう思いました。
そんなわけで、情報処理技術者試験の改革が進んでいるようだ、というお話でした。
個人的には、そろそろAI専門の試験ができてもいいころだとは思うんですよね。
生成AIも普及しましたし、AIを搭載した製品も増えています。
『情報処理システムが戦略的に利用され、及び多様なデータが活用される高度な情報化社会の実現を図り、もつて国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与すること』を目的とするなら、やはり現実に即した試験体系にすべきです。
まあ、私は専門分野ではないので、簡単に受かるとは思えませんが……。
それでは、制度変更後の合格率も気になる、山本慎一郎でした。