
新しいエンベデッドシステムスペシャリスト試験の所感
情報処理技術者試験(2023年秋期)が終わりました。
受験された皆さま、お疲れさまでした。
さて、私は今回、出題範囲と出題形式が変更になった、「エンベデッドシステムスペシャリスト」を受験しました。
エンベデッドシステム?
中々、馴染みの薄い用語だと思います。
IoTだとか、監視カメラだとか、そういった『機械に組み込まれたコンピュータ』のことを指します。
一般の方に馴染みが薄いのと同様、プロのエンジニアも比較的少なく、受験者数は高度区分でも非常に少ない部類です。
特に今年は、出題形式の変更の影響もあってか、受験申込者数は高度区分最低の2,547人。
これ福岡だけとかじゃないですからね? 全国で2,547人です。
私が受験した会場でも、約50名ほどしかいませんでした。
(受験申込者数は、IPA 情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 統計資料より)
で、実際内容はどうだったのか。
……めちゃくちゃ難しくなってました。
午前問題は、まあ近年全体的に底上げしてるようなので、そんなに差は感じませんでした。
が、午後問題は確実に難しくなってます。
従来、午後Ⅰ、午後Ⅱと、記述式の問題が2枠にわたって出題されていたのですが、これが午後Ⅰに凝縮。
午後Ⅰでは、去年までは3問中2問解答だったのですが、今年は2問中1問になっていました。
つまり、問題の選択ミスをしたらリカバリできません。
また、内容の難しさも、去年までの午後Ⅰと比べるとやや高いように思いました。
総合すると、午後Ⅰ.5ぐらいの難易度になっていると感じました。
そして午後Ⅱ。小論文です。
これが致命的に難しい。
まず、従来の記述式だと文章を読んで解答するので、普段の仕事が組込みシステムでない人でも、多少ごまかしがききました。
ですが、論文になると、論述の主旨だけが提示されて、後は『あなたの経験と考えに基づいて答えなさい』と書かれているだけです。
正直なところ、経験と主旨が完全にマッチする方が少ないので、皆さん、多かれ少なかれ内容を盛ることはあると思います。
が、今年の問題の主旨を見る限り、普段、組込みシステムに携わっていない人は、かなり内容を組みにくくなったように感じました。
一応、3問用意されている中から1問を選べばよいのですが、今年の内容で言えば、ストラテジ系1問、組込み2問で、割と逃げ場がありませんでした。
私はと言えば、用意されるだろうと踏んでいたストラテジに逃げました。(これでも一応ITストラテジストなので)
というより、組込みシステムの経験がほぼないので、逃げざるを得ませんでした。
それぐらいには、組込みの「現場」に踏み込んだ出題になっていました。
以上を総合すると、従来の「エンベデッドシステムスペシャリスト」と比べると、別物じゃないかというほど難しくなっています。
少なくとも、「システムアーキテクト」と同等以上の水準だと感じました。
特に、ストラテジ系勝負で行こうとすると、午後Ⅰではストラテジだけの問題がないので、そこで詰みます。
逆に、ストラテジの知識がないと落ちるほどの内容はどの枠にもなかったので、『組込みがメインで、ストラテジも学んだ人』が理想像かと思います。
そういう意味では、出題側の意図通り、妥当な試験内容だったと思います。
というわけで、2023年度の試験は終わりました。
ということは……? はい、2024年度の試験がやってくるんですねー。
候補としては、今年やらかしてしまった「ネットワークスペシャリスト」へのリベンジがひとつ。
あるいは、設計方面の能力を確認するために「システムアーキテクト」もありかなと考えています。
ただ、恒例の『試験の帰りに参考書を買って帰る』作戦で本屋に立ち寄ったのですが、「システムアーキテクト」の参考書は論文の「対策」ばかりで、正直言って微妙でした。
せめて何か魅力的な本はないかと資格以外の本も探したのですが、ピンとくるものはありませんでした。
なので、まだ何も本を買っていない状態です。
まあ、AIや機械学習についてピンポイントで学ぶとか、そういうのもいいとは思うんですけども……。
やるなら、以前手を出していたイーサリアムネットワークですかね。
日本のITビジネス界は未だにChatGPT一色なので、海外の情報を漁る必要はありますが、あれが一番楽しそうです。
それでは、また不合格になっていそうな、山本慎一郎でした。